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ようちゃん
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数年前何かのテレビでやってた話。
ある男の人の実体験らしいのだがその人(仮にAさんとしよう)が保育所くらいの子供のとき、公園で遊んでいると制服をきて自転車に乗った男の子が話しかけてきた。
ちょうど当時は中学生くらいに見えたという。その子は
「いっと(一緒)に遊ぼう」
と声をかけてきた。Aさんは
「いいよ」
と答え一緒に遊びだした。男の子の名前を尋ねると
「ようたん(ちゃん)って呼んで」
と言うのでAさんはようちゃんと呼び一緒によく遊んだ。ようちゃんは野球も教えてくれたりしていろいろな遊びを教えてくれた。少し舌足らずな話し方が印象的だったという。

仲がよくなると自宅までいつもの自転車で迎えに来てくれるようにもなった。公園ではAさんの友達も交えて一緒に遊んだ。
Aさんのお母さんも
「ほら、ようちゃんが迎えにきてくれたよ」
とAさんに教えてくれるほど顔見知りになっていた。

そんなある日、Aさんが自宅でそろそろようちゃんが迎えにきてくれる時間だなと思って待っていると
「キキキーーーー!ドン!」
と大きな音がした。Aさんは直感的に事故の音だとわかった。それと同時にいやな予感がした。
「まさか、ようちゃんが!?」
そう思ったAさんは家を飛び出し音のした方へと駆け出した。その先に見えたものは醜くひしゃげ倒れたいつもの自転車と頭から血を流し倒れている制服姿のようちゃんの姿だった。

どうすればいいかわからなくなったAさんは、とにかくお母さんに知らせなきゃ、と思い家へと走りました。
家に駆け込みお母さんのところへ息を切らせ走り込み
「お母さん大変!ようちゃんが…ようちゃんが車にひかれたの!血がいっぱいでてるの!」
と大声で言うとお母さんは不思議そうな顔をしてAさんに一言
「ようちゃんって…だれ?」
と聞き返しました。Aさんは必死になって
「ようちゃんはようちゃんだよ!いつも遊んでくれるようちゃんだよ!」
とお母さんに言うのですがお母さんは
「そんな子は知らない」
と不思議そうな顔をしてAさんに答えるだけです。Aさんはとにかく来て、とお母さんを事故のあった場所までひっぱっていくとその場にあったはずの自転車も、ようちゃんの姿も、確かにながれていたはずの血も何事も無かったかのように何一つなかったのです。
Aさんはおかしいと思い、一緒に公園で遊んでいた友達、近所のおじさん、おばさんとにかく一緒にいるところを見ていたはずの人全員にようちゃんのことを尋ねましたが、誰一人ようちゃんのことを知っている人はいませんでした。

それから月日は流れAさんは中学生になっていました。Aさんは地元の商店街のお店で手伝いをしお小遣いの足しにしていました。それは、ある週末の人手が多い時間帯。
Aさんが忙しくお店の手伝いをしているとふと懐かしいような視線を感じ後ろを振り返りました。
そこにはあの自転車を持ち学生服を着たようちゃんが立っていたのです。少し離れて人ごみの中からAさんの事をじっと見つめていました。そしてAさんに一言
「た(さ)よ、な、ら」
と舌足らずな声で声をかけたあと自転車を押しながら人ごみに消えていったそうです。
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